年金数理人制度は、年金数理に関する責任体制を明確にし、厚生年金基金の財政を健全に維持することを目的として、厚生年金保険法の改正により、1988年9月に導入されました。また、1991年からは国民年金基金、2002年からは確定給付企業年金にも適用されることとなりました。その後2013年に、根拠規定が確定給付企業年金法に移されました。
年金数理の専門家として厚生労働大臣の認定を受けた年金数理人は、厚生年金基金、国民年金基金および確定給付企業年金から厚生労働大臣に提出する書類について、適正な年金数理に基づいて作成されていることを確認する役割を担っています。また、年金制度の財政状態を健全に維持するために、確認書に所見を記したり、制度の関係者に対して意見を述べたりすることを通じて年金受給権の保護に貢献しています。
さらに、退職給付会計基準の影響や、確定給付型の年金の制度変更だけでなく確定拠出型の年金への移行を含め、退職給付全般に係る企業のコンサルティングニーズは高まっており、年金数理の知識を有する年金数理人の役割も広がりを見せています。
以下では、年金数理人となるための方法について説明します。

年金数理人になるまでの流れ

年金数理人になるには、つぎの4つの要件をみたし、厚生労働大臣の認定を受ける必要があります。

  1. 要件1:知識
    以下のいずれかに該当すること。
    • (1) 公益社団法人日本年金数理人会が実施する試験(以下「日本年金数理人会試験」)の全科目に合格 ※1、※2
    • (2) 公益社団法人日本アクチュアリー会が実施する試験(以下「日本アクチュアリー会資格試験」)の全科目に合格 ※1、※3
  2. 要件2:経験
    確定給付企業年金等の年金数理に関する業務(以下「年金数理業務」)に5年以上従事した者であること。
  3. 要件3:責任者たる経験
    年金数理業務の責任者として年金数理業務に2年以上従事した者であること。
  4. 要件4:社会的信用
    十分な社会的信用を有するものであること。

※1 「日本アクチュアリー会資格試験」と「日本年金数理人会試験」の合格科目の組み合わせ、過去の試験制度での結果を考慮した経過措置により、知識要件を満たす場合もあります。
※2 「日本年金数理人会試験」の全科目に合格するには?
2科目(年金数理、年金法令・制度運営)に合格することが必要です。なお、年金法令・制度運営を受験するためには要件があります。
※3 「日本アクチュアリー会資格試験」の全科目に合格するには?
基礎科目となる第1次試験5科目、専門科目となる第2次試験2科目の計7科目に合格する必要があり、全科目合格までには最低でも2年を必要とします。

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日本年金数理人会試験について

日本年金数理人会試験は年金数理、年金法令・制度運営 の2科目からなり、この2科目全て(※4)に合格すると、年金数理人の知識要件を満たすこととなります。

※4 年金法令・制度運営を受験するためには、年金数理(日本アクチュアリー会資格試験を含む)ならびに日本アクチュアリー会資格試験の1次試験のうち年金数理を除く全科目に合格済みという要件があります。また、2021年度以前における能力判定試験のうち「年金法令・制度運営」に合格している場合は、日本アクチュアリー会資格試験の「数学」、「損保数理」、「生保数理」及び「会計・経済・投資理論」に合格している必要があります。

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