2026年6月1日の定時総会後に開催されました理事会にて、理事長に選任されました。就任にあたり一言ご挨拶申し上げます。
まず、当会創設以降、原田前理事長はじめ、長年にわたり本会の発展に尽力された全ての皆さまに、この場をお借りしてあらためて深く敬意と感謝の意を表したいと思います。
さて、日本の景気動向は、賃上げやインバウンド需要の回復等を背景に回復基調にある一方、物価動向や金利・為替の変動など、不確実性も存在しております。こうした環境下において、公的年金制度では令和7年の法改正を受け、被用者保険の適用拡大や在職老齢年金制度の見直しが進められています。
企業年金分野に目を向けますと、確定拠出年金制度の拡充や人事制度全体の見直し、定年延長の進展などを背景に、退職給付制度の再設計も進んでいます。また、資産運用立国の実現に向け、アセットオーナーとしての役割と責任が改めて問われるなか、企業年金の 給付水準やその仕組み、資産運用の状況、その状況を踏まえた予定利率の設定などを受益者等に分かりやすく示す「企業年金の見える化」の重要性も高まっています。また、制度の持続可能性や給付の確実性を確保するためには、制度設計や財政・リスク管理に関する専門的判断を適切に行うと同時に、その内容を分かりやすく説明することも不可欠であり、これらの点においても、年金数理人が専門的知見を発揮することが期待されているものと認識しております。
本会では2026年度事業計画においても、「企業年金の普及・発展に向けた公益活動をより一層推進すること」を基本方針に掲げ、国内外の年金制度改革や会計基準の動向を踏まえた調査研究、企業年金制度の普及・発展に向けた啓発活動、大学院等における年金数理教育の支援など各種取組を継続してまいります。あわせて、法令・会計基準の改正等に即した実務基準の制定・改編を迅速に行い、その周知徹底を図るとともに、IAAの国際的な実務基準等への対応を通じ、専門家としての役割・責任の再確認と実務水準の向上に努めてまいります。
人生100年時代において、老後の所得保障の一翼を担う年金制度は、国民生活にとって欠かすことのできない社会基盤です。会員の皆さまの専門性が企業・加入者・社会にとって真に価値ある形で発揮され、日本年金数理人会および会員の認知度や信頼性が向上するよう、役員・各委員会委員の皆さまと力を合わせ、その職責を全うする所存です。今後とも変わらぬご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
2026年6月
公益社団法人 日本年金数理人会
理事長(代表理事)
森下章仁