平成10年4月9日
社団法人日本年金数理人会設立趣意書
厚生年金基金制度が創設されてから30年が経過したが、この間基金制度は着実に普及・発展を遂げ、公的年金とともにより豊かな老後生活を実現する企業年金として定着するに至っている。現在、基金数で約1900、加入員数で約1,200万人と厚生年金保険被保険者の約4割が加入し、その資産規模は45兆円を超えている。
しかし、1980年代後半のバブル経済が崩壊してからは、わが国の経済は低迷を続け、年金資産の運用環境が非常に厳しい中で、基金財政の悪化が諸処に見られるところとなった。そのため、厚生省における厚生年金基金制度研究会をはじめ、行政機関の審議会や産業界、労働界における企業年金や基金制度を巡る検討、厚生年金基金連合会における21世紀企業年金研究会など、1~2年前より各方面で基金制度を巡って検討が行われ、昨年来その検討結果が公表されたところである。
これらを背景として、平成9年度から基金財政運営のルールを大幅に変更し基金財政の健全化策を進めようとする通知が、厚生省から出された。この中には、基金の自主的な財政運営の拡大、指定年金数理人制度の導入等があり、年金数理人に期待される職務範囲が拡大されるとともに、免除保険料率の個別化も検討の俎上にのぼるなど、より重い責任が課せられることとなった。年金制度は長期にわたるものであり、老後を支える年金の受給権確保のためには、適正な年金数理に基づいた健全な財政運営が不可欠である。
われわれ年金数理人は、昭和63年9月の年金数理人制度の法制化以後、厚生年金基金制度及び国民年金基金制度の健全な発展のため活動を続けてきた。年金数理人も今では243名に達している。
今年度からの職務範囲の拡大と責任の増大に対応して、年金数理人の行動に関する規範、実務基準を制定することにより業務品質の統一を図るとともに、会員の資質の向上に努めていくことが強く要請されるに至っている。このような要請に応え、広く公益に資していくためには、年金数理人の総意により活動できかつ社会的に認められた組織としての社団法人日本年金数理人会を設立し、その活動基盤を確固としたものにすべきである。
ここに、われわれ一同は社団法人日本年金数理人会の設立を決議する。